紅茶の味噌煮込み

オックスフォード留学記

無理矢理記事を書く

11月も今日で終わりである。月の終わりに際して、私には1つ気にかかっていることがあった。 今月は2本しかブログ記事を書いていないのである。ブログ右の「月別アーカイブ」を見て頂ければ分かるが、2018年になってから私は毎月少なくとも3本の記事を執筆し…

留学生は休暇をどこで過ごすか問題

冬が厳しさを増してきた。やはり将軍まで出世するだけはあって、冬というやつはなかなか毎年強大な力を発揮するもので、この1・2週間であっという間にイングランドを制圧してしまった。街は戒厳令下にあり、配給制になった日光を求める人々の長蛇の列がそこ…

オックスフォードカレッジ紀行③:St. John's College

お金は大事である。いくら研究に専念する大学院生といっても霞を食べて生きていくわけにはいかず、先立つものが必要になる。それにそもそも人間が霞を食べて生きていくことができれば、それを商売にしようとする人間が現れるのが世の常というもので、結局は…

散髪迷走記、あるいは「ぼんち揚」をめぐる物語

外国に住むということは、当然だが、生活上のあれこれを外国のものに切り替えていくということを意味する。現地の銀行にお金を移し、現地の食材を使って料理をし、現地のティッシュで鼻をかまなければならない。もちろん日本から持ってくることができるもの…

"Your English is good." は褒め言葉か

英語圏で学位を取ろうと留学している人は、英語圏で生まれ育ったほぼネイティブの人を除いて、誰でも英語に悪戦苦闘した経験を持つだろう。外国語を第二言語として「習得」することは簡単なことではなく、今ではものすごく流暢に聞こえる人でも、そこにたど…

ラストイヤーをもう一度

イギリスに戻ってきて、1週間が過ぎた。去年と同じ寮の建物の違う部屋に住んで、相変わらずカレッジを中心に生活を送っている。指導教員とも年度初めの顔合わせをして、今年度の計画を確認した。1月からはフィールドワークが待っているので、色々と準備をし…

「栄養バランスの先送り」はいつまで可能か?

20代も半分を過ぎると、体質というのは変わるものだ。大学卒業くらいまでは、クアラ・ルンプールを「クアラルン・プール」だと信じていたのと同じくらいの強さで、自分は何をいくら食べても太らないと思い込んでいた。しかしここ1・2年くらいで、高校時代か…

海外院生が応募できる国内研究助成リスト

研究にはお金が必要である。実験器具とか設備を揃えなければいけない自然科学系の人たちはもちろん、社会科学にも実験をする人はいるし、フィールドワークをする人もいる。また研究を国内外の学会で発表する際には、その交通費旅費なども必要だ。近年は論文…

都会の昆虫少年だったあの頃

月末から月初にかけてアメリカに行って学会発表をしていたため、更新がだいぶ滞ってしまった。このブログの月別記事数を見てみると、ほとんど月3記事ペースで書いているようだが、6月と7月は休み期間だったからか、更新頻度が増えていた。しかし8月で月3に逆…

犬も歩けば犬に当たるか?

犬派猫派論争というものがある。人々の選好を明確に二分することが可能であると信じる楽観的な思考の持ち主が、飲み会の席で一通り話題が出尽くした後、お代わりのウーロンハイを頼みつつ持ち出す、アレである。 個人的には、そもそもなぜ犬好きと猫好きが同…

「エスニック料理」とは何だ

飲み会続きの毎日である。今日は朝から(!)大学時代のサークルの友人たちとバーベキューをしてその後ランチで高校の同級生たちとタイ料理を食べ、その前は大学のクラスの友人たちと和食の居酒屋で飲み、さらにその前は東京にいるオックスフォードの友人で…

一時帰国しました

帰国前後のバタバタで更新が遅れていた。イギリスからフィンランドのヘルシンキに8月1日に飛び、そこで3泊して、4日の飛行機で日本に飛び、5日の朝に帰国した。成田空港内から一歩出ると、一瞬にして熱く湿った空気に全身を包まれ、日本の夏の底力をすぐに思…

夏の終わりと始まり

今日からちょうど1週間前はTransfer of Statusという、博士論文計画のディフェンスだったのだが、この1週間はぼーっとしていたようであまりこれといった記憶もない。大した仕事をしていなかったのか、あるいは何かしていたが記憶を失っているだけなのか、ど…

「自己防衛」としての質的方法論ー2018年7月時点での暫定的見解のまとめ

はじめに 以前2回に分けてIQMRサマースクールの体験記(①・②)を執筆したが、今回は、オックスフォードで授業を履修する中で感じ、IQMRに参加してある程度まとまった、政治学の質的方法論に対する私見というか、私なりの理解をまとめたいと思う。もっとも、…

ロンドンの一番長い日

昨日はロンドンに行ってきた。ロンドンはオックスフォードから電車で1時間ほどなのだが、オックスフォードという街は大きくない割に大抵の基本的なものは何でも揃うこともあって、この1年、留学前に予想していたほどには行かなかった。面白いのは、大阪とい…

「つまらない飲み会」をどう解釈するか

夏休みに入って大半の友人が帰国してしまい、またサマースクールに来ているキッズでカレッジが溢れかえっているためにカレッジからも足が遠のいているのだが、逆にその孤独を埋めるために最近はほとんど毎日夜はオックスフォードに残っている友人と食事をし…

ウィンブルドン

世界がワールドカップで盛り上がっている今日この頃だが、現在、その陰でもう1つの世界的スポーツ大会がイギリスで開催されている。ウィンブルドン・テニス選手権である。 今でこそあまりプレーもしていないが、中高テニス部で、一時期はテニス雑誌も毎月購…

IQMRサマースクール 第2週

前回の記事はこちら 先週から参加していた、アメリカ・シラキュース大学で開催されているInstitute for Qualitative and Multimethod Research (IQMR) の2週目が終わったので今週の感想をまとめておきたいと思う。プログラムは2週間なので、今週金曜日で全日…

IQMRサマースクール 第1週

今週月曜日から、Institute for Qualitative and Multimethod Research (IQMR) という政治学方法論のサマースクールに参加している。政治学方法論のサマースクールとしては、ミシガン大学で開催されるICPSRが最も有名で規模も大きいと思われるが、量的方法論…

Ph.D1年目の終わり

先週の金曜日に博論のプロポーザル、というかイントロダクションと1章分のドラフトを提出して、Ph.D1年目が無事終わった。オックスフォードでは、DPhil(Ph.Dの呼び方)は3段階に分けられていて、第1段階がTransfer of Status、これはいわゆるプロポーザルの…

研究発表にコメントするのは難しい

オックスフォードというところは、とにかく毎日随所で大量のセミナーが開催されており、興味があるものに全部行こうとすると生活が回らなくなる。私は今年は少々セーブしすぎた感があり、それほど多くに行ったわけではないが、それでも学部で開催されるもの…

オックスフォードカレッジ紀行②:Nuffield College

前回自分のカレッジであるSt. Antony'sを紹介してから実に2ヶ月以上も時が経ってしまったが、今回はNuffield Collegeを紹介したいと思う。このシリーズをあまり更新できていなかったのにはわけがあって、なぜかというと他のカレッジのことは記事にできるほど…

日常会話と専門会話

ここ最近は、1年目の終わりに提出しなければいけない博論計画の締切が迫っていることもあってその執筆に追われている毎日であり、そのせいでブログの更新が滞ってしまっていた。博論計画を6月前半に提出した後、6月後半はIQMRという質的方法論のサマースクー…

交友関係における経路依存

今いる学部が客観的に見て学問的に最高の環境かどうかは大いに議論の余地があるが(自分の研究関心にとっては結構良いとは思うけど)、ソーシャルライフという意味でオックスフォードに来たことは間違いなく良い選択だったと言える。端的に言って毎日楽しい…

オックスフォード国際関係論Ph.Dの就職状況

研究者を目指して博士課程に所属している、あるいはこれから大学院を選ぼうと考えている人ならば、その大学院を出た先にどのような未来が待っているのかを考えるのは自然なことだろう。自分のプログラムの出身者が、研究大学に良いポストを得ているのか、ど…

夏の始まり(と終わり?)

先週の後半から週末にかけてはものすごく良い天気が続いた。驚くべきことに日中の最高気温が25度近くを記録し、街は半袖の男女であふれ、芝生という芝生が日光を逃すまいとするオックスフォード住民によって占拠されていた。なかには日光を効率よく浴びるた…

ティッシュペーパーが異常に高くて硬いこの国で

前回はかなり真面目なことを書いて、今までで一番反響があり、驚くと共に嬉しかった。そこで今回も何か有意義なことを書いてブログの読者を繋ぎ止め、あるいは増やしていこうという欲に駆られそうになるが、そうは問屋が卸さない。今回は誰が見てもどうでも…

文献ノートの取り方問題:日本語で取るか英語で取るか

論文は先行研究の積み重ねの上に成立するものであって、論文を書くには論文や本を読まねばならない。そして読んだ文献を引用しなければならない。分野や引用形式にもよるだろうが、「~ということが従来言われてきた(Takahashi 2010; Tanaka 2011; Suzuki 2…

本文化と論文文化

研究者として、研究成果を発表して世に問うのは最も中心的な仕事である。自分も良い研究をして、できるだけ多くの読者を獲得したいと思っている。だが、その研究をいかなる媒体で発表するかという点においては、分野やアプローチによって大きな隔たりがある…

オックスフォードカレッジ紀行①:St. Antony's College

以前の記事で「これから色んなカレッジを順番に紹介していきます」などと言ったにも関わらず、結局その後1ヶ月近くも更新していなかった。というかブログの更新自体にかなり間が空いてしまっている。博士課程1年目の終わりに出す研究計画書のドラフトを春休…