紅茶の味噌煮込み

オックスフォード留学記

夢のフシギ

僕には夢がある。希望がある。そして持病がある。 そういうアフラック的な話をしたいのではなくて、夜寝ている間に見る夢の話だ。誰しも夢は見ると思うが、私は人と比べても夢をよく見る方だと思う。そしてその内容を比較的よく覚えている。 その夢について…

カタール日記 Week 2:世界一退屈な街?

カタールはドーハでの「フィールドワーク」生活も、もう3週間近くが経過しつつある。こちらでは、土日ではなく金土が週末なので、日曜日に大学に行くとついつい月曜日感覚になってしまう癖が抜けない。月曜日は火曜日感覚、火曜日は水曜日感覚・・・とずれて…

カタール日記 Week 1:砂漠の国の豊かな暮らし

カタールはドーハに着いて、10日が過ぎた。実感としては、まだ10日しか経っていないのか、という方が近い。もう1ヶ月くらいいるような気がする。 以前の記事では「出国前症候群」について書いた。ああいう文章は、決まって夜に、少し目を細めて心持ち斜めを…

意欲的な学部生のためのアウトプット媒体―懸賞論文という選択肢

研究者の最も重要な仕事は、研究成果を論文や本の形で出版することだろう。どの学問分野にも実に様々な雑誌が存在して、各国の研究者がその研究成果を発表している。研究者志望だと言うと、よく「勉強が好きなんですね」という、恐らく悪気のない、しかしあ…

出国前症候群

「あと3日で日本を出発して、留学先に戻る。次に帰国して家族や友達に会うのは、半年後だ。」―そういう夜に、「それ」はやってくる。 留学先にも大事な人達はいるし、生活も楽しいけれど、帰国した時のような心からの安心感、心の内奥に張り巡らせている膜が…

捕鯨、優生思想、同じ顔―腸が煮えくり返った話

「人生山あり谷あり」と言うが、生きていれば良いことも悪いこともある。そういえばこの山あり谷ありというのはどういう意味だろう。山が良いことで谷が悪いことなのか、あるいはここには出てこない、歩くのが楽な平地だけではなくて、登るのが難しい山や上…

新しい年を迎えて

あけましておめでとうございます。 2018年は過ぎ去り、2019という新しい年がやってきた。「2018」という数字は埃に覆われてくすんで見えるようになり、一方で「2019」という数字にはおろしたての新鮮さを感じる。などというのは今だけのことで、我々はじきに…

2018年に読んだ小説

言うまでもなく大晦日だ。街は静まり返り、そば屋は年に一度の特需に湧き、うどん屋はそれを見てほぞを噛み、夜になれば誰もその勝敗の行方に興味のない合戦が始まる。プロ野球選手などは「チームの勝利が最優先なので、個人の記録はどうでもいいです」など…

きのこたけのこ論争という結果の分かり切った議論について

日本に帰って来ると食べたいものが沢山ある。寿司はその筆頭で、海外でもSushiが食べられるとは言ってもそれはSushiであって寿司ではない(両者は似て非なるものである)し、ラーメンもまた海外で食べられるものの大半はRamenに過ぎない。イギリスの有名和食…

「目的」としての日本研究、「手段」としての中国研究?

学期が終了し、オックスフォードは徐々に学生の数が減って空っぽになりつつあるが、私も今週パリ経由で帰国する予定だ。パリで3泊ストップオーバーするという旅程は1ヶ月ほど前に決めたのだが、ここに来てパリの政情が怪しくなってきた。毎土曜日に大規模な…

無理矢理記事を書く

11月も今日で終わりである。月の終わりに際して、私には1つ気にかかっていることがあった。 今月は2本しかブログ記事を書いていないのである。ブログ右の「月別アーカイブ」を見て頂ければ分かるが、2018年になってから私は毎月少なくとも3本の記事を執筆し…

留学生は休暇をどこで過ごすか問題

冬が厳しさを増してきた。やはり将軍まで出世するだけはあって、冬というやつはなかなか毎年強大な力を発揮するもので、この1・2週間であっという間にイングランドを制圧してしまった。街は戒厳令下にあり、配給制になった日光を求める人々の長蛇の列がそこ…

オックスフォードカレッジ紀行③:St. John's College

お金は大事である。いくら研究に専念する大学院生といっても霞を食べて生きていくわけにはいかず、先立つものが必要になる。それにそもそも人間が霞を食べて生きていくことができれば、それを商売にしようとする人間が現れるのが世の常というもので、結局は…

散髪迷走記、あるいは「ぼんち揚」をめぐる物語

外国に住むということは、当然だが、生活上のあれこれを外国のものに切り替えていくということを意味する。現地の銀行にお金を移し、現地の食材を使って料理をし、現地のティッシュで鼻をかまなければならない。もちろん日本から持ってくることができるもの…

"Your English is good." は褒め言葉か

英語圏で学位を取ろうと留学している人は、英語圏で生まれ育ったほぼネイティブの人を除いて、誰でも英語に悪戦苦闘した経験を持つだろう。外国語を第二言語として「習得」することは簡単なことではなく、今ではものすごく流暢に聞こえる人でも、そこにたど…

ラストイヤーをもう一度

イギリスに戻ってきて、1週間が過ぎた。去年と同じ寮の建物の違う部屋に住んで、相変わらずカレッジを中心に生活を送っている。指導教員とも年度初めの顔合わせをして、今年度の計画を確認した。1月からはフィールドワークが待っているので、色々と準備をし…

「栄養バランスの先送り」はいつまで可能か?

20代も半分を過ぎると、体質というのは変わるものだ。大学卒業くらいまでは、クアラ・ルンプールを「クアラルン・プール」だと信じていたのと同じくらいの強さで、自分は何をいくら食べても太らないと思い込んでいた。しかしここ1・2年くらいで、高校時代か…

海外院生が応募できる国内研究助成リスト

研究にはお金が必要である。実験器具とか設備を揃えなければいけない自然科学系の人たちはもちろん、社会科学にも実験をする人はいるし、フィールドワークをする人もいる。また研究を国内外の学会で発表する際には、その交通費旅費なども必要だ。近年は論文…

都会の昆虫少年だったあの頃

月末から月初にかけてアメリカに行って学会発表をしていたため、更新がだいぶ滞ってしまった。このブログの月別記事数を見てみると、ほとんど月3記事ペースで書いているようだが、6月と7月は休み期間だったからか、更新頻度が増えていた。しかし8月で月3に逆…

犬も歩けば犬に当たるか?

犬派猫派論争というものがある。人々の選好を明確に二分することが可能であると信じる楽観的な思考の持ち主が、飲み会の席で一通り話題が出尽くした後、お代わりのウーロンハイを頼みつつ持ち出す、アレである。 個人的には、そもそもなぜ犬好きと猫好きが同…

「エスニック料理」とは何だ

飲み会続きの毎日である。今日は朝から(!)大学時代のサークルの友人たちとバーベキューをしてその後ランチで高校の同級生たちとタイ料理を食べ、その前は大学のクラスの友人たちと和食の居酒屋で飲み、さらにその前は東京にいるオックスフォードの友人で…

一時帰国しました

帰国前後のバタバタで更新が遅れていた。イギリスからフィンランドのヘルシンキに8月1日に飛び、そこで3泊して、4日の飛行機で日本に飛び、5日の朝に帰国した。成田空港内から一歩出ると、一瞬にして熱く湿った空気に全身を包まれ、日本の夏の底力をすぐに思…

夏の終わりと始まり

今日からちょうど1週間前はTransfer of Statusという、博士論文計画のディフェンスだったのだが、この1週間はぼーっとしていたようであまりこれといった記憶もない。大した仕事をしていなかったのか、あるいは何かしていたが記憶を失っているだけなのか、ど…

「自己防衛」としての質的方法論ー2018年7月時点での暫定的見解のまとめ

はじめに 以前2回に分けてIQMRサマースクールの体験記(①・②)を執筆したが、今回は、オックスフォードで授業を履修する中で感じ、IQMRに参加してある程度まとまった、政治学の質的方法論に対する私見というか、私なりの理解をまとめたいと思う。もっとも、…

ロンドンの一番長い日

昨日はロンドンに行ってきた。ロンドンはオックスフォードから電車で1時間ほどなのだが、オックスフォードという街は大きくない割に大抵の基本的なものは何でも揃うこともあって、この1年、留学前に予想していたほどには行かなかった。面白いのは、大阪とい…

「つまらない飲み会」をどう解釈するか

夏休みに入って大半の友人が帰国してしまい、またサマースクールに来ているキッズでカレッジが溢れかえっているためにカレッジからも足が遠のいているのだが、逆にその孤独を埋めるために最近はほとんど毎日夜はオックスフォードに残っている友人と食事をし…

ウィンブルドン

世界がワールドカップで盛り上がっている今日この頃だが、現在、その陰でもう1つの世界的スポーツ大会がイギリスで開催されている。ウィンブルドン・テニス選手権である。 今でこそあまりプレーもしていないが、中高テニス部で、一時期はテニス雑誌も毎月購…

IQMRサマースクール 第2週

前回の記事はこちら 先週から参加していた、アメリカ・シラキュース大学で開催されているInstitute for Qualitative and Multimethod Research (IQMR) の2週目が終わったので今週の感想をまとめておきたいと思う。プログラムは2週間なので、今週金曜日で全日…

IQMRサマースクール 第1週

今週月曜日から、Institute for Qualitative and Multimethod Research (IQMR) という政治学方法論のサマースクールに参加している。政治学方法論のサマースクールとしては、ミシガン大学で開催されるICPSRが最も有名で規模も大きいと思われるが、量的方法論…

Ph.D1年目の終わり

先週の金曜日に博論のプロポーザル、というかイントロダクションと1章分のドラフトを提出して、Ph.D1年目が無事終わった。オックスフォードでは、DPhil(Ph.Dの呼び方)は3段階に分けられていて、第1段階がTransfer of Status、これはいわゆるプロポーザルの…