「好きな〇〇」という質問 「好きな〇〇は何ですか?」と聞かれると返答に困ることがある。とはいってももちろん「好きなクワガタは何ですか?」と聞かれれば、まあやっぱりアスタコイデスノコギリクワガタと答えるだろうし、「好きなテニスラケットの振動止…
博論提出から4ヶ月近くにも及んだ一時帰国を終えて、イギリスに戻ってきてから、2週間ほどが経った。最初の1週間ほどは隔離期間だったので、実質出歩いたのはまだ数日であり、右と左はわかるが、右斜め上と左斜め下はわからない、というくらいのケンブリッジ…
前回の記事はこちら Junior Research Fellowとは 前回の記事で、オックスフォードとケンブリッジは独自のポスドクの制度を持っている、という話をちらっと書いたが、今回はそれについて説明したい。オックスフォードとケンブリッジ(+ダラム)は、「カレッ…
前回の記事はこちら コロナとジョブマーケット 新型コロナの流行が、中国やその周辺国の地域的な問題から、グローバルな危機へと変化したのは、2020年3月頃であった。このパンデミックの影響というのは各所に及んでいて、思わぬ形で私にも影響を及ぼすことに…
このブログを始めてもう4年近くになるが、そもそもの開設動機は、政治学の分野で海外PhDに出願するための情報を提供するためであった。その後色々と愚にもつかない記事を書き続けてはや4年が経ったわけだが、そんな私もこの3月に博士号を取得し、長い院生生…
突然だが、皆さんは何色が好きだろうか。そんなにいきなり言われても答えられないよという方が多いかもしれない。正解だ。この質問には安易に答えてはいけない。好きな色と言っても、ジャケットに選びたい色と、カーテンにしたい色と、博士論文に使いたい色…
一体誰が、「コロナ禍」などという言葉を使い始めたのだろう。少なくとも私は、今まで日常で「禍」という漢字が入った言葉を用いた記憶はほとんどない。「コロナ禍」というのは、「新型コロナウイルスが流行しているこの社会の状態」というのを、字数制限の…
このブログの読者はほとんどが私のTwitterを見ている人だと思うので、既に知ってい(て「またかよ」と思ってい)ると思うのだが、一応「本拠地」であるこちらでも博士号取得の報告をしておこうと思う。 以前のポストで書いた通り、博士論文を提出したのは今…
おそらく関西圏に住んだことのない人には何のことかわからないだろう。「ちちんぷいぷい」とは、TBSと同系列の毎日放送(MBS)という関西ローカルの放送局によって、1999年から22年間ものあいだ放送されてきた、午後の情報番組である。アクの強い同時間帯の…
夕食後は一切研究をしないようになって、そろそろ2年が経つ。 多くの院生と同様、もともと私は昼夜の別なく、勉強や研究をやってしまう性質だった。考えてみれば中学受験の塾からして、学校が終わった後に始まり、夕食を挟んで夜まで授業が行われていたのだ…
表題の通りである。ついについに、博士論文を提出した(といってももう2週間前)。80,821語、日本語にして、だいたい16~20万字くらいなものだろうか。ダブルスペースで約300ページ。書き上げて、手放した。 12月中に全体のドラフトはできており、あとは指導…
あけましておめでとうございます。 今年はトロントにいた2014年以来、久しぶりに国外で迎える新年である。どうせ日本にいても帰省はしないほうがいいのと、博論が佳境を迎えており、時差を調整する時間のロスが惜しいので、こちらに留まることにした。私は本…
さてさて、年の瀬である。とはいっても今年の場合は、「もう終わるのか」ではなく「やっと終わるのか」、あるいは「いつ始まったのか」というのが正直な感想である人も多いことだろう。それくらい異常な年であった。 私にとってもめちゃくちゃな年で、留学中…
数日前、ついに博論の終章のドラフトを書き終わった。それ以外の章は11月の頭に書き終わっていて、その後は他の章の修正をひたすらやっていたのだが、12月に入ってからついに結論に取り掛かり、ようやく書き上がったわけである。どの章を書くのも大変だが、…
芸のないタイトルを付けてしまった。それくらい博論にかかりきりで、ブログにかける時間がないということだ。ブログを書くハードルが高いのは、記事が毎回長過ぎるからなので、今回はさらっと書いてしまおうと思う(予定)。 特に今回の記事に目的はなく、最…
博論を書いている。それはそれはもう博論を書いていて、率直に言って驚いているほどだ。最近では博論を書きすぎて、「博論を書き博論を書いて読むまた博論を書いてまた読む」という、短歌史上に残る名歌を生み出してしまった。その上でポスドクのアプリケー…
9月になった。8月中旬に日本を出てこちらに戻ってきたのだが、イギリスというか欧州はもうだいぶ気温も下がってきて、最高気温は20℃前後になっている。朝晩は長袖シャツにカーディガンやセーターを羽織ってちょうどいい、といった気候だ。ヨーロッパの夏は日…
夏である。私は7月生まれということもあり、幼い頃から夏を愛してきた。梅雨が明けてセミの声が聞こえ始めると心が浮き立ち(※このセミはクマゼミでなければならない)、広葉樹の林を目にすればそこに棲んでいるであろうクワガタやカブトムシに思いを馳せ、…
研究者というのは、研究の成果として論文や著書を発表する生き物だが、その出した成果が他の研究者などから参照されることに喜びを見出す生き物でもある。自分の研究が誰かの「参考文献」となることは、端的に言って嬉しい。 先日、Google Scholarから一通の…
突然だが、人間にとって(主語が大きい)、心の平安を保つためには、複数の拠りどころを持つことが重要だと思う。人間関係という意味でも、1人しか友達がいなければその人と喧嘩してしまえば誰にも相談できなくなるし、本業の仕事だけにあまりに打ち込みすぎ…
前回の更新からまた時間が経ってしまった。単調な自粛生活をしていると、時間が経つのは恐ろしいほど早く、日本に帰ってきてはや2ヶ月以上が過ぎた。4月の半ばくらいにはイギリスに戻れるかな、なんて考えていたのに、もう6月である。 その間何をしていたか…
人は老いる。花は散り、季節はめぐり、ネロとパトラッシュは天に召される。世の中には避けられない運命というものがあることは、私のような若造の言を俟たないのだが、そうした運命のひとつに、「イギリスに留学すると言うと『ご飯が美味しくない』と言われ…
ブログを1ヶ月近くも放置してしまった。帰国してホテルで自主隔離をして以降は、ずっと実家で研究をしている。ヨーロッパの緊迫した状況に比べると、日本は緊急事態宣言が出てもまだまだ牧歌的で、それが逆に恐ろしいくらいだ。なので感染の可能性やロックダ…
「コロナ時代」を生きている。2ヶ月前には、中国が何だか大変なことになっている、という程度の認識だった。1ヶ月前には、日本を含むアジアに感染が広がり始めたことが心配になり、一方でヨーロッパではアジア人に対する差別や偏見が散見されるようになった…
上京して大学に入学してからトロントに交換留学するまでの二年ちょっとの間、民間の学生マンションのようなところに住んでいた。大学の寮や県人寮みたいな、共同体的な感じのところではなくて、住人は学生という以外特に共通点もなく、会えば話すことはある…
オックスフォード生活の1・2年目と3年目で、がらっと生活が変わった。最初の2年間は、カレッジの中に住んでいて、かつキッチンが共有だったため、昼も夜もだいたいカレッジのダイニングホールで食べていた。昼はみんな授業があるので慌ただしいが、夜は食後…
かつて日本の法学部や法学政治学研究科に所属していた頃、所属を明かすと「弁護士になるの?」と聞かれた。いや、私は法学じゃなくて政治学をやっているんですと言うと、「じゃあ政治家になるんだ?」と続く。政治学者に政治家になりたいかを聞くのは、ミジ…
年末年始の一時帰国を終え、10日の夜にオックスフォードに戻ってきた。日本の冬はよく晴れいて、寒さもそこまで厳しくなく、ヨーロッパと比べると格段に過ごしやすい。夏はまったく逆になるので、冬に長く帰り、夏に短く帰る方が本来良いと思うのだが、学事…
前回の記事はこちら 四半期ごとに読んだ小説をまとめる試みを続けてきたが、第四四半期ということで、この四半期に読んだ小説と、一年間に読んだ小説の振り返りの両方を行いたい。 2019年10月から12月の間に読んだ小説は、10冊であった。1-3月が45冊、4-6月…
早いもので今年も残り3日となってしまった。昨日日本に帰国し、年末年始を実家で過ごした後、少しだけ東京に行って、そこから渡英する予定である。 しかし我々はとかく「時が経つのは早い」と言いがちだが、一体何に比べて早いと思っているのだろうか。毎年…