紅茶の味噌煮込み

オックスフォード留学記

Ph.D1年目の終わり

先週の金曜日に博論のプロポーザル、というかイントロダクションと1章分のドラフトを提出して、Ph.D1年目が無事終わった。オックスフォードでは、DPhil(Ph.Dの呼び方)は3段階に分けられていて、第1段階がTransfer of Status、これはいわゆるプロポーザルの段階で、1年目の終わりか2年目の初めに提出する。第2段階はConfirmation of Statusといって、博論のドラフトを何章分か出すことになる。そして第3段階は博論の提出、という構成である。各段階すべてにインタビューがあり、私のインタビューも7月かあるいは来年度の初めに行われると思われる。審査する教員は指導教員と相談して依頼するのだが、Andrew HurrellとLouise Fawcettという、IRの中では結構重鎮的なファカルティ2人に審査してもらえることになった。指導教員が若いので、バランス的には良いのではないかと思われる。

この1年というか、9ヶ月くらいは、あっという間に過ぎ去ってしまった。荷物を整理していたら、今住んでいる部屋に最初に来たときにもらった鍵が入っていた封筒を見つけた。そこには2017/9/26 - 2018/6/23と書いてあって、そうか9月26日に来たんだったなと思い出した。

来る直前は日本の心地良い生活から離れるのが億劫で、「マリッジブルー」的な気分になっていたものだが、今や自分にとってオックスフォードはホームの1つであるし、多分夏の間一時帰国していると、早く新年度が始まらないだろうか、と思う瞬間もあることだろう。

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9ヶ月間住んだ部屋を片付けて出て来た。

Ph.D1年目は、やはり慣れることにある程度時間がかかったというか、日本のシステムからこちらのシステムに移行して、授業と研究のバランスとか、何が求められているのかの理解とか、色んなことにそれなりに時間を要した。留学前には自分の研究テーマはかなり固まっているように思い込んでいたが、実際に進めようとしてみると、見えていなかった問題点や、考えるのを先延ばしにしていた課題に直面することになった。また、自分の知識がいかに限られているか、ということも自覚せざるを得なかった。今は読まなければいけない文献が目の前にうず高く積もっている。また、アウトプットの面では、早く出版したい論文が複数あるのだが、満足できるような進捗を生むことはまだできていない。結局、研究に対して常にトップギアでは取り組んでいなかったのかもしれない。これらは夏の間に何とか挽回したい。

とはいえ良かったことは、修士時代から継続している自分の研究に改めて興味と自信が持て、やる気が出たことである。若干飽きっぽいところのある私は、5年以上も同じテーマを続けられるのか正直なところ自信がなかったのだが、色んな問題に直面してそれに対処しているうちに、「やっぱりこれって面白いんじゃないだろうか」と思うことができるようになり、またもっと読まないといけないものがある、やらないといけないことがあると痛感したことで、今自分が何をすべきかも明確になった。そういう意味で、この1年の経験に対しては、もっとできることはあったにせよ、総じてポジティブに捉えることができている。

来年度は、セミナーや学会等を通じてもっとネットワークを広げること、論文を複数publishすること(特に英語での1本目が早く欲しい…)、そして何より、博士論文を大幅に進捗させることを目標とする。数ヶ月単位のフィールドワークを2つする予定もあり、来年度は忙しくなりそうだ。

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カレッジでは学期末にballという、大きなパーティーが開かれた。

アカデミックな側面以外については、オックスフォードでの生活は期待していた以上に楽しかった、という感想しかない。大事な友人も数多く出来たし、とても充実した気分で毎日を過ごせた。楽しい思い出は数えるときりがない。特に仲の良いドイツ人の友達と毎週日曜日にディナー→パブでダーツ→カレッジでビリヤード、というコンボを決めたり、フロアメイトとたわいもない話をしながら朝ご飯を食べたり月曜半額のバーガーを食べにパブに行ったり、日本語話者の友達と日本酒を飲みながら色んな話をしたりしたことが思い出される。他にもパンティングや小旅行など良い思い出ばかりがどんどんと浮かんでくる。振り返ってみて、嫌な思い出というのはほとんど思いつかないくらいだ。ただ寂しいのは、今年長い時間を一緒に過ごした友人の多くが、卒業してオックスフォードを去ってしまうことだ。3~5年いるPh.Dの院生は、毎年人が来ては去っていくのを目にし、次の年にはまた一から友達作りをしなければならないのは辛いところである。

来年度は、ソーシャルな充足感を維持しつつ、アカデミックにもっと成果を出せるようにしたいと思う。