紅茶の味噌煮込み

東京駆け出し教員日記

冬休みの一時帰国

年末年始の一時帰国を終え、10日の夜にオックスフォードに戻ってきた。日本の冬はよく晴れいて、寒さもそこまで厳しくなく、ヨーロッパと比べると格段に過ごしやすい。夏はまったく逆になるので、冬に長く帰り、夏に短く帰る方が本来良いと思うのだが、学事暦がそれを許してくれない。恨めしい限りである。ここから2ヶ月あまりは、暗く寒い冬を耐え忍ぶ期間となる。

今回の帰国は2週間程度と、昨年や一昨年と比べると短かったのだが、毎日何かと楽しかった。今回は関空に降り立ち、1週間少々実家で過ごした後、5日ほど東京に滞在するという日程だった。関空では両親が迎えに来てくれたが、帰省を純粋に喜んでいる母親と、さも昨日も会っていたかのように振る舞う父親という、いつも通りの光景。飛行機で寝られない体質なので、帰宅後すぐに寝たのだが、年々時差ボケの影響が強まっており、その後1週間ほど、夕食後に強烈な眠気に襲われて1-2時間寝てしまい、朝は6時ごろに目が覚めてしまうという生活が続いた。長距離移動による心身への影響を実感した一時帰国でもあった。

実家に滞在中は、年末年始ということもあり、あまり出かけることもなかったのだが、30日には奈良に出かけ、学部時代からお世話になっている東京から帰省中の先輩と、奈良駅周辺で豚カツを食べた。奈良駅周辺は近年街の整備やブランド化が進み、「ならまち」として売り出し中なのだが、京都ほどむやみに観光客でごった返すこともなく、一方で歴史を感じさせる町並みや、伝統と現代が融合した色々なお店が集まっており、散策して飽きることがない。とてもおすすめ。久しぶりに会った先輩は、私の5つほど上だが、既にポストを獲得されていて、充実の様子だった。ずっとお世話になってきた先輩なので、こちらも嬉しい。

人と会うと、その時のお互いの状態や場所などによって、あまりしっくりこないときと、ぴったりはまって後々まで印象に残るほど楽しいときがある。大抵はその中間だが、この日は後者で、思い出すとまた懐かしい気持ちになる。

晦日は紅白を観たりサスケをつけてみたりと、ザッピングをしていたが、年末年始の特番というのはどうしてかくもつまらないのだろうか。「ゆく年くる年」が一番面白いくらいだ。正月はおせちを食べ、親戚と会い、毎年変わらない毎日を過ごした。変わらないのがいい。おみくじは普通の吉だったが、良いことがたくさん書いてあった。箱根駅伝も観たが、この関東ローカルイベントが全国中継されるのは、なんとも不思議な気がする。しかしもはや正月のイメージと密接に結びついているため、お雑煮を食べながらぼーっと眺めるのは嫌いではない。

3日には、毎年恒例の、中高の部活の同期によるテニス会が開かれた。大学でテニスをしていないのは私ともうひとりくらいなので、ずっと1勝もできない年が続いていたのだが、今年は引き分けが2,3試合あったのでよしとしたい。

5日から東京に行く予定だったのだが、6日が仕事初めの会社が多いからか、日曜日である5日の新幹線は空席がまったくなく、仕方なく6日に行く予定に変更した。6-9日は、昼も夜も、毎日誰かと会ってご飯を食べたり飲んだりしていた。限られた一時帰国の日程の中で、誰と会うかの選択をするのは容易ではないが、絶対に毎回会いたい人というのはいて、それが私の場合、大学時代のサークル(学生団体)の同期だ。あまり群れるのが好きではない性格の私だが、このサークルの友人たちとはいつまででも話していられる。大学時代にそういう居場所を見つけられて、本当によかったと思う。また早く会いたい。

学部卒業から5年目ともなると、転職する人もいれば、大学院に入る人もおり、また結婚する友人もそこかしこに出てきている。2年前にも、一時帰国すると「自分がいない間にも日本社会では確実に時間が流れている」ということを実感させられるという記事を書いたが、その変化は2年前の比ではない。ここから1年毎に、もっと変化は加速するのだろうと思う。自分は将来どこにいたいのか、いつ帰国するのかといった問題にも、答えを見つけなければならない時期に差し掛かりつつある。人生は選択の連続だ。

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瀬佐味亭は、間違いなく東大生に一番愛されている店の筆頭だろう。いつも頼むのは、ザーサイ坦々+排骨。