紅茶の味噌煮込み

東京駆け出し教員日記

新しい年を迎えて

あけましておめでとうございます。

2018年は過ぎ去り、2019という新しい年がやってきた。「2018」という数字は埃に覆われてくすんで見えるようになり、一方で「2019」という数字にはおろしたての新鮮さを感じる。などというのは今だけのことで、我々はじきに2019も使い古してくたくたにしてしまうに違いない。私が以前やってい(て続かなかっ)たブログには、こんなことが書かれていた。なーに寝ぼけたこと言ってんだべらぼうめ、という感じである。

2015年は大きな心配事もなくぬるりと過ぎ去り、早くも2016年がやってきた。2016という数字は何か近未来的な数字であるように思われる。

さて、2018年は私にとっては可もなく不可もなくといった年であった。去年のおみくじは確か凶で、不安な幕開けであったわけだが、学業も概ね順調であったし、私生活でもまあ特別悪い年ではなかったといえよう。論文も1本出版できたし、初めて海外学会での発表を経験し、Transfer of Statusも無事通過して、学部内でも少しずつ認知してもらえるようになってきたと思う。オックスフォード生活も相変わらず楽しいし、一生ものだと思えるような友人もできた。

しかしまあ、テニスやスカッシュをやっていて思うのだが、今あるものを守り切ろうとだけ思ってプレーしていると、なかなかうまくいかないものである。失点したくないという思いが先行すると、結局心体が萎縮してミスが生まれたり、ラケットを振り切れずにネットにボールを引っ掛けてしまったりするのだ。何が言いたいかというと、現状維持ではなく向上を目指さないと、という話である。6-4で勝てそうなセットであっても、6-3、6-2を目指して努力しないと、結局タイブレークにもつれ込んでしまうこともあるから。テニスを知らないとわからない話になってしまった。

というわけでまあ、私事ながら、本年の目標を簡単に書いておきたいなと思う。私事ながらと言ったが、ブログは私事を書くところなので誰に気兼ねする必要もないのである。前言撤回。

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高校テニス部の友人たちと新年恒例のテニス会をした。
  • 英語論文の出版

やはりこれが今年一番の悲願である。自分は日本語では幸い、査読論文2本とブックチャプター1本(もう1本あるのだがそちらはあまりアカデミックでないのでここではノーカウント)、書評1本を出せているのだが、英語の業績は日本語論文の英訳版1本しかなく、英語の学界ではまだ存在していないも同然である。この世界、やっぱり最終的にものを言うのは業績だと思うので、早く1本目の論文を出版したい。こういうのは静止摩擦と動摩擦の話と一緒で、最初動き出すまでが一番大変だと思うのだ。1回できてしまえば、2回目以降は「それよりは」楽になると思っている。今出したい論文が2本あって、うち1本は修士からずっと取り組んできた研究なのだが、どちらが先でもいいから、今年中に1本は最低限アクセプトまでこぎつけたいものだ。 

  • イギリスを知る

もっと自分が今住んでいる国のことを理解しなければ、と思う。オックスフォードの院生コミュニティは非常に国際的であるため、日常生活の中で「イギリス」を感じることは意外に少ない。ともすると自分がイギリスに住んでいるという事実すらも忘れそうになるほどだ。1年目は、まずオックスフォードでの生活に慣れ、軌道に乗せることが重要だったため、イギリスに深入りする余裕がなかったが、2年目になって余裕が出てきたため、そろそろ本格的に行動しないと、言っている間に卒業を迎えてしまいそうだ。

イギリスを知る、というのは具体的に言うと、テレビや新聞でイギリスのニュースにもっと積極的に触れる(今は家にテレビがない)、イギリス国内の色々な場所へ足を運ぶ、といったことになるだろう。この国の歴史、文化、そして今何が起きていて、人々は何を考えているのか、ということを知りたい。

  • 日常にメリハリをつける

博士課程あるあるだと思うのだが、私は放っておくとずっとだらだらと研究してしまう。これは全然褒められたことではなくて、「だらだらと」研究しているので、長時間、それほど高くない集中度で研究をやっており、そのためあまり効率が良くない。結果他のことをやる時間が減っていき、部屋やオフィスで過ごす時間が無駄に増えてしまうことになるのである。まあ冬のイギリスは気候が悪くてあまり外に出る気にならない、という問題点もあるのだが、それにしたって漫然と一日を過ごすのではなく、区切りをつけて何事も意識して取り組みたいものだ。そのためにポモドーロ・テクニックなどを導入することも考えたのだが、 私は根本的に自分の意志以外のものによって行動を制約されることが何よりも嫌いなので、多分これは私には向いていないのではないかと思う。

  • 研究以外の何かを深める

上と関連するのだが、研究以外に何か「自分はこれをやっている」と自信を持って言えるものを確立したいとずっと思っている。趣味という次元で良ければ、今の私にもスカッシュ、テニス、ビリヤード、小説、音楽、映画、短歌 etc. と色々あるのだが、どれもそれほど深くは掘り下げていない。浅く広くという感じである。しかし、研究だけが人生ではないし、もう1つ軸が何かあった方が、本業の研究の方も上手く回るような気がしているのだ。それに、私の師匠もそうだが、 一流の研究者と言われる人の中には、何か自分の専門以外にすごく詳しい分野があって、そこでも名を成しているという人が多いように思う。今年中にその「何か」の足がかりくらいはつけたいなと思う。 

  •  ブログは週1を目標に

思いがけず長く続けることができているこのブログだが、続けていると段々固定読者も増えてきて、久しぶりに会った人や初めて会う人に「ブログ読んでるよ」なんて言われることも増えてきた。本当にありがたいことで、とても励みになる。自分の考えていることをネット空間にさらけ出す(まあそのごく一部しか出していないわけだが)というのは最初抵抗があったが、自分は研究も含めて、「文章で生きていきたい」と考えているから、良いトレーニングにはなっていると思う。

ただ、忙しい時期など、ついつい更新が滞ることもあって、11月には無理やり月末に「記事を書くという記事を書く」という禁じ手を使ってしまったこともあった。月3記事が自分の去年の適正ペースだったわけだが、今年はもう少し頑張って週1記事くらい書ければと思う。何かここをこうした方が良いとか、こういうことについて書いてくれということがあったら、教えてください。

 

また年末に、これらの目標をどれくらい達成できたか振り返ってみたいと思う。あまり具体的でない目標も多いが。

ちなみに今年のおみくじは吉だった。安心した。