紅茶の味噌煮込み

東京駆け出し教員日記

博士論文提出!

表題の通りである。ついについに、博士論文を提出した(といってももう2週間前)。80,821語、日本語にして、だいたい16~20万字くらいなものだろうか。ダブルスペースで約300ページ。書き上げて、手放した。

12月中に全体のドラフトはできており、あとは指導教員の最終コメントを得て、校正をしてフォーマットを整えれば終わり、という状態だった。そして2021年1月15日午後3時55分、満を持してオックスフォード大学に博士論文を提出完了したのである。

一昨年まで、オックスフォードでは、博士論文はハードコピーをExamination Schoolsというところに物理的に提出しなければいけない決まりだった。しかし2019年から論文提出はオンライン化され、クリックひとつで提出が可能になった。300ページもの論文を印刷して、製本に出して、という手間が省けたのは誠にありがたいことだし、ハードコピー提出とオンライン提出のどちらかを選べと言われたら、迷いなく後者を選ぶ。ただ、物理的に「提出した!」という感慨をより強く感じられるのはどちらか、といえば、前者になるだろう。ワンクリックでの提出は、なんだかあっけないものだった。

コロナ以前の世界なら、Examination Schoolsに論文を提出して、記念写真を撮り、友達を誘ってパブに繰り出し、盛大に祝ってもらう、ということが何よりのご褒美になったに違いない。そうして宴がひとしきり終わり、座の中心から解放されてぼーっと周りを眺めているときに、ふつふつと達成感が胸の奥からこみ上げてきて、それをビールの残りと一緒に味わっていたことだろう。その特別な瞬間を体験することができないことをとても残念に思う。

とはいえ、大きな仕事を終えたことに変わりはない。このブログはオックスフォードの博士課程に進学する直前から始めたものなので、足かけ3年半、博士課程の期間とちょうど同じくらい続けてきたことになる。我ながらよく続いたものだ。日本の学会の若手交流会などに行くと、「ブログ読んでます」と言って頂くことも増えてきた。自分で書き散らしておきながら、そう言われると何だかぎくり、とするのだが。博士課程はもうすぐ終わるが、ブログは当分やめるつもりはない。

今後の予定としては、近いうちに日本に一時帰国し(変異種のせいでイギリスからの移動は面倒になってしまった)、日本でオンラインの口頭試問を受ける予定である。その結果しだいで修了の時期(可否?)が変わってくるので、まだ手放しで解放感を味わっていい時期ではないのだが、しばらくはのんびり過ごして口頭試問を待ちたい。