紅茶の味噌煮込み

東京駆け出し教員日記

四月になれば

気づけば年末からブログを更新していなかった。留学していたときはわりとこまめに更新をしていた記憶があるが、帰国後は頻度が落ち、そして頻度が落ちるとどうしても近況報告的な投稿が多くなってしまう。どうでもいい話を書くことが少なくなったのが少し寂しい。

もっと更新したいという意思はあるのだが、やはり忙しさが院生の時とは違う。その中でも今年の1-3月は特に忙しかった。というわけで今回も、近況報告的な投稿になってしまいそうである。

ペーパーとイベント

1月の末に自著の日本語版が出て、それに関連する諸々をやっていたのと、3月にある学会のためのペーパーと、それとは別に英語のブックチャプターを2本、3月までに書く必要があった。それに加えて、年度内に色んなイベントを済ませようと(自分も含めた)みんなが動いた結果、2-3月にやたらとイベントの仕事が増えた。その中には自分のブックローンチなども入っているが、センター関連の仕事も集中した。書いているだけでも忙しそうである。

アメリカ出張

3月の頭にアメリカに学会出張をした。International Studies Associationという、国際関係論では最大の学会で、ここ数年は毎年行っている。今年はシカゴで開催ということで、寒さを危惧していたが、それほどでもなかった。そういえば前回シカゴに行ったのは2017年で、英米の博士課程に応募してノースウェスタン大学に合格した際の大学訪問でシカゴ(近郊)に行ったのだった。それは2月末で、あまりの寒さに「ここは無理じゃないか」と尻込みしたのも、結局行かなかった理由の1つだった。

ISAでは自著のbook roundtableを企画した。book roundtableとはどういうものかというと、ある本に関して4-5人くらいの研究者が順番に評価とコメントを発表していき、著者がそれに応答する、というようなものである。こうしたパネルは毎年一定数、特に1冊目の本を出した若手研究者のものを対象に開催されているようだ。私の本が出たのはちょうど去年のISAの直前だったので、去年開くことはできず、今年の開催となった。出版から1年経っているのでちょっと時機を逸した感があり、始まる前はやめとけばよかったかな、などと思っていたのだが、やってみたらやはりやってよかったと思った。

私のパネルは最終日で、それまでに話した友人なども前日に帰ってしまう人が多かったので、人が来るのか本気で心配していた。実際、パネルが始まる5分前くらいまでほとんど誰も来ず、「終わった…」と思っていたら開始直前にわらわらと人が集まり、結局20人弱くらいは集まってくれた。1/3くらいは知り合いだが、そうでない人もかなりいて嬉しかった。

コメンテーターは豪華な面々を集めたつもりで、ケンブリッジのAyse Zarakol先生をはじめとして、Hendrik Spruyt先生、Iver Neumann先生など、知っているけど今まで読んでもらったことのない人たちにお願いした。全員が非常に温かいコメントと建設的なフィードバックや質問をしてくれ、お世辞はあるにしても、この人たちに評価してもらえるということは、少しは自信を持ってもいいのかな、と思わせてくれる体験だった。

その他にも友人や知り合いとキャッチアップできて楽しかったのだが、来年以降はあんまり開催場所が良くないこともあって、ISAに行くかは考え中。

日本でもブックローンチ

3月末には無理やりだが日本語版のブックローンチも行った。こちらは修士までの指導教員である藤原帰一先生に司会をお願いし、千葉大酒井啓子先生とアジ研の谷口友季子先生にコメントをお願いした。

本当はもう少し時間をかけて準備をしたかったのだが、年度末までの予算を使おうと思ったのと、あまり刊行から時間を空けてもやる気がなくなるので、思い切って急拵えで開催した。

このイベントも当日の議論が非常に面白く、酒井先生がオスマン帝国時代の統治と中東の国家形成の関係を指摘されれば、藤原先生が植民地国家の集権性とその後の国家形成の関係についてコメントされるという感じで、本自体へのコメントもさることながら、そこから派生する面白そうな問題が続出し、新たな研究の種が見つかった。谷口先生は方法論的な観点から本書を評価してくださり、比較政治学者の感想を聞く機会がこれまであまりなかったので非常にありがたかった。

色々な人に支えられてここまで来たのだな、と実感する機会が続いた。

四月になっても

そんなわけで、3月まで忙しくしていて、4月になったら一息つける…!と思っていたのだが、4月になったらなったで今度は来週ホストする予定のワークショップのロジが大変なのと、月末にはカリフォルニアの大学に出張して講演などをする予定になっているので結局あまり暇ではない。

森山直太朗の歌で「四月になれば」というのがあって、結局4月になっても4月になるだけという面白い歌なのだが、実際そうだ。新年度になったからといって、何が変わるわけでもないのである。そんなわけで今年度も頑張ろう。

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