紅茶の味噌煮込み

東京駆け出し教員日記

一時帰国中のSIM問題

大学・大学院留学生にとっては、5・6月のこの時期は、大学の学期が終わり、長い夏休みに入る時期だ。この時期に、日本に一時帰国しようという人も多いだろう。私もその一人である。

普段外国に基盤をおいて生活している私たちが、日本に一時帰国した際に困る問題の1つが、SIMカードである。留学先の国で携帯電話を契約している場合、国内にいる間にデータ通信や電話をどうするか、これが意外と難しい。

私はイギリスで、Threeという新興の会社と契約していて、この会社は世界70以上の国と地域で、イギリス国内と同じ扱いで海外ローミングできるシステムがあり、ヨーロッパやアメリカ等に行くときには非常に重宝するのだが、残念ながら現在のところ日本はその中に入っていない。おそらく他の会社でも似たような仕組みはあると思う。

となると、日本国内で短期の通信手段を確保しないといけないわけだが、なかなかちょうどいいサービスがない。以下では私がこれまで何度かの一時帰国で試してきた経験をもとに、一時帰国中のSIM問題について書いてみる。下記は網羅的な内容ではないし、新しい情報があれば私も知りたい。なお、ここでは「そもそも一時帰国中は家と公共のWifiだけで問題ない」という忍耐強い方のことは想定していない。私のように、外出先でもデータ通信が手放せない、ひ弱な現代っ子が対象である。

SIMなしでポケットWifiSkypeという選択肢

上記のような特別なローミングサービスがある場合は別として、普通海外ローミングはかなり割高に設定されているから、1日2日ならまだしも、何週間もそれを使うのは現実的ではないだろう。しかし、だからといってSIMカードが即必要になるかといえば、そうでもないはずだ。

というのも、データ通信しかしない場合、ポケットWifiを借りることで解決できる。ポケットWifiなら、携帯電話だけでなく、家にネット環境がない場合にパソコンなどで使用することもできるし、かなり便利だからだ。料金も、短期のSIMカードの多くと比べて割安になる可能性も高い。

さらに、電話をしなければならない場合でも、Skypeクレジットを購入しておけば、国内外に安い料金で電話ができ、普通の電話よりもよっぽどお得である。こちらから誰かに連絡する場合には、これで問題ないはずだ。さらに、Skypeには電話番号を取得するというオプションもあって、これを使えば電話を受けることもできる。

これで問題解決!と思いきや、上記ではカバーできないものがある。それがSMS(電話番号を宛先にするショートメッセージ)である。最近、インターネット上の色々なサービスで、SMSによる認証手続きが要求されることが多く、日本国内のサービスだと日本の番号しか受け付けないという場合もままある。しかし、上記のSkype番号では、残念ながら今のところSMSの受信はできないのだ。

SMSってそんなに使うか?という感じもするし、近くに家族や友人がいれば、一時的に使わせてもらうこともできると思うのだが、自分のこれまでの経験だと、意外にSMS認証で、手続きをそれ以上進められない、ということが何回かあった。なのでSMSを使いたい、となるとこのオプションは使えないことになる。

多くの短期プリペイドSIMには電話番号がつかない

次に、短期(2週間とか1ヶ月とか)のプリペイドSIMを買うという手もある。各社が色んな日数、データ容量でプランを出しており、短期の滞在ならこうしたものを購入する人も多いのではないかと思う。私も何回か使用したことがある。空港や家電量販店で買える。

IIJ Japan Travel SIM for unlocked phone 3GB(nano/micro/標準SIMマルチ対応) IM-B257

IIJ Japan Travel SIM for unlocked phone 3GB(nano/micro/標準SIMマルチ対応) IM-B257

 
b-mobile VISITOR SIM (docomo) (Nano SIM) (21days) (Data only) (SIM inside)

b-mobile VISITOR SIM (docomo) (Nano SIM) (21days) (Data only) (SIM inside)

 

しかし、これらのSIMにもデメリットがある。まず、値段が割高だ。1ヶ月3GBで3000-4000円くらいする。まあ、日本だと通常のキャリアでもかなり高いので、それと比べると大したことはないのかもしれないが…。さらに、データ通信のみで電話番号がつかないものがほとんどなのも、問題だ。これらのSIMを入手しても、電話の機能がないので、当然SMS認証にも使えないことになる。ポケットWifiのように、返却の手間がいらないのはありがたいが、あまり多くのものを期待することはできないだろう。

HanaCellは使えそうな感じがする

それで何かいいオプションはないかと考えていたときに見つけたのが、HanaCellというサービスだ。この会社の「ジャパンSIMカード」は、39米ドルのSIM購入代金を払えば、あとは年額8米ドルで、日本の電話番号を維持できるというもの。これで、一時帰国してスマートフォンにこのSIMカードを挿入すれば、毎回日本の電話番号で電話やSMSができるということになる。データ通信に関しては、利用した月だけ59米ドルの料金がかかる仕組み。7GB以上の通信量だと速度制限がかかるらしい。

たとえ1MBしか使わなくても、59ドルかかるということだと思うので、通信量は高い。なので、データ通信機能はできるだけ利用しないほうがいいのではないかと思う。しかし、一年たったの8ドルで電話番号を維持できるのは、魅力的ではないだろうか。これとポケットWifiを併用すれば、データ通信、電話発信受信、SMSのすべてができるようになる。

2・3ヶ月だとmineoなどの格安SIMも使える

もう1つの選択肢として、プリペイドではない通常の格安SIMを利用する手もある。格安SIM会社は、大手キャリアのように「最低契約期間」を設けている場合も多いが、設けていないものもある。調べたところ、mineoやイオンモバイルといった会社はそうらしい。最低契約期間がなければ、短期の一時帰国でも、出国する際に解約すればいいわけなので、選択肢に入ってくる。

こうした会社には、データ通信専用のSIMと、音声通話機能がついたSIMがあるようで、値段は当然後者の方が高い。ただ、mineoの場合、よくわからないが、データ通信専用のSIMでも、SMS機能が使えるのだ。電話はできないが、電話番号が与えられる。そのため、mineoのSIMとSkypeを併用すれば、データ通信、電話発信受信(受信はSkype番号を取得した場合のみ)、SMSができるようになる。

値段も、3GBで月額900円と、プリペイドSIMよりはるかに安い。ただ、初期費用(契約手数料+SIMカード発行料)が3000円少々かかるので、1ヶ月では少し割に合わないが、2ヶ月以上使用するなら有力なオプションになるはずだ。

とまあ、私が必要に駆られて調べた限りでは、こんな感じだ。別に専門家ではないので、もしかしたら間違っている箇所もあるかもしれないが、ご容赦頂きたい。他の人がどうしているか気になるので、より良いオプションがあれば、ぜひ知りたい。なお、私はHanaCellやmineoの回し者ではない。