紅茶の味噌煮込み

東京駆け出し教員日記

どうでもいい話

A駅とB駅のあいだ

帰国してからなんだかんだと忙しくしているうちに更新が2ヶ月も滞ってしまった。7月半ばにイギリスから帰ってきたわけだが、数日後にオーストラリアでシンポジウムがあって、そこから戻ってきてまた1週間ほどで弘前の研究会に出て、7月はそれで終わってしま…

柑橘あれこれ

突然だが、私はフルーツが大好きだ。嫌いな野菜はタマネギだが、嫌いなフルーツはなく、強いていえばイチジクは大して好きではないが、あれもジャムにしたりするとまあ食ってやってもよいかなという気になる。 「男の一人暮らし」とフルーツ 大学生のときな…

不甲斐ないプリンタ

海外で引越しの多い生活をしていたせいで、できるだけモノを増やさない生活を心がける癖がついた。Marie Kondoよろしく、私もspark joyしないものは所有しないようになり、論文などというものは概して人間のjoyをsparkすることはないので、紙媒体ではなく電…

冷やし中華と野球

阪神タイガースがペナントレースをリードしている。2年前もシーズン途中まで首位を走っていたのだが、後半ヤクルトに追い越されて優勝を逃した。そもそも阪神はこの18年間、優勝していない。最後に優勝したのは、なんと私が小学校を卒業した年である。 だか…

グレープフルーツはグレープではないのか

「生産的」な休日? 「休みの日は何してるんですか?」というのはよく知らない人との当たり障りのない会話において最頻出の質問の1つであるが、こうした質問は往々にして最も答えにくい質問でもある。私はこれを聞かれた際には、短歌がどうとかスカッシュが…

気まぐれなまぶた

今日は少し寒かったが、ここ数日春のような陽気が続いていた。外を歩いていてもふとした瞬間に春の匂いが漂ってくるような気がして、つい深呼吸してしまう。先週末は湯島天神の「梅まつり」に行ってきたが、桜ほど派手ではなく、淡い梅の花が裸の枝に小さく…

コロナに罹った

なんと前回の投稿から2ヶ月以上も間が空いてしまった。この間何があったかというと、色々あったようでもあり、特に何もなかったようでもあるのだが、まあ人生というのは得てしてそういうものだろう。 ただ、まあ重大事件というのは確かにあって、それは何か…

ネギが先かタマネギが先か

突然だが、タマネギが嫌いだ。外皮を見れば一見フルーツのような姿をしていながら、剥いてみればどこまでが皮なんだかわからないような無限繰り返しの白い板の集積で、包丁で切れば目がやられるし、食べてみると、付け合せのサブみたいな顔をしていながらそ…

所変われば

早いものでイギリス生活も4年目が終わろうとしている。もっとも、その間一時帰国したりフィールドワークに出ていた期間も長いので、実質の滞在期間はもっと短いのだが、まあイギリスに本拠を置いて4年、ということは確かだ。 前回の記事で「好きな〇〇は何で…

好きな音楽二段階仮説

「好きな〇〇」という質問 「好きな〇〇は何ですか?」と聞かれると返答に困ることがある。とはいってももちろん「好きなクワガタは何ですか?」と聞かれれば、まあやっぱりアスタコイデスノコギリクワガタと答えるだろうし、「好きなテニスラケットの振動止…

色とは色でないものである

突然だが、皆さんは何色が好きだろうか。そんなにいきなり言われても答えられないよという方が多いかもしれない。正解だ。この質問には安易に答えてはいけない。好きな色と言っても、ジャケットに選びたい色と、カーテンにしたい色と、博士論文に使いたい色…

なぜ蚊に刺されるとかゆいのか

夏である。私は7月生まれということもあり、幼い頃から夏を愛してきた。梅雨が明けてセミの声が聞こえ始めると心が浮き立ち(※このセミはクマゼミでなければならない)、広葉樹の林を目にすればそこに棲んでいるであろうクワガタやカブトムシに思いを馳せ、…

イギリス飯マズ論争の交通整理

人は老いる。花は散り、季節はめぐり、ネロとパトラッシュは天に召される。世の中には避けられない運命というものがあることは、私のような若造の言を俟たないのだが、そうした運命のひとつに、「イギリスに留学すると言うと『ご飯が美味しくない』と言われ…

坂本さんの手、あるいは「青春」の記憶

上京して大学に入学してからトロントに交換留学するまでの二年ちょっとの間、民間の学生マンションのようなところに住んでいた。大学の寮や県人寮みたいな、共同体的な感じのところではなくて、住人は学生という以外特に共通点もなく、会えば話すことはある…

樹液酒場の作法

いいか少年。クワガタやカブトムシが好きだと言うんだったら、一度は虫採りに出かけないといけない。ペットショップやホームセンターで買ったり、外国産の虫を売っている専門店に行ったりするのも楽しいもんだが、それだけじゃ本当の虫好きとは言えない。自…

「ソーダ味」とは何なのか?

梅雨も開け、猛暑がやってきた。私も10年ほど前までは毎日元気にテニスをしに学校に通ったり、さらにその5年前までは虫取り網を引っ提げて駆け回っていたわけだが、大学に入ってからはもっぱらインドア派になってしまった。運動をするにしても、ジムに行った…

関西人に対して「方言が出ないですね」と言う人が犯している二重の過ちについて

私は関西人である。大阪に生まれ、中学の時に奈良に引っ越し、大学で東京に出てくるまで、18年間を関西で過ごした。関西育ちで両親も関西人であるから、私は当然関西弁を話す。東京にも7年近く住んだが、「標準語」に染まらず、魂を売らずに生きてきた。 に…

笑気ガス抜歯体験記

歯医者に行くのがキライだ。 まず混んでいるのが気に入らない。予約の電話を入れようとしても、空いている時間の方が少ないくらいだ。歯医者に行くのが趣味という人でもいるのだろうか。 次に歯医者に時々チャラチャラした連中がいるのが気に入らない。親や…

夢のフシギ

僕には夢がある。希望がある。そして持病がある。 そういうアフラック的な話をしたいのではなくて、夜寝ている間に見る夢の話だ。誰しも夢は見ると思うが、私は人と比べても夢をよく見る方だと思う。そしてその内容を比較的よく覚えている。 その夢について…

きのこたけのこ論争という結果の分かり切った議論について

日本に帰って来ると食べたいものが沢山ある。寿司はその筆頭で、海外でもSushiが食べられるとは言ってもそれはSushiであって寿司ではない(両者は似て非なるものである)し、ラーメンもまた海外で食べられるものの大半はRamenに過ぎない。イギリスの有名和食…

無理矢理記事を書く

11月も今日で終わりである。月の終わりに際して、私には1つ気にかかっていることがあった。 今月は2本しかブログ記事を書いていないのである。ブログ右の「月別アーカイブ」を見て頂ければ分かるが、2018年になってから私は毎月少なくとも3本の記事を執筆し…

散髪迷走記、あるいは「ぼんち揚」をめぐる物語

外国に住むということは、当然だが、生活上のあれこれを外国のものに切り替えていくということを意味する。現地の銀行にお金を移し、現地の食材を使って料理をし、現地のティッシュで鼻をかまなければならない。もちろん日本から持ってくることができるもの…

「栄養バランスの先送り」はいつまで可能か?

20代も半分を過ぎると、体質というのは変わるものだ。大学卒業くらいまでは、クアラ・ルンプールを「クアラルン・プール」だと信じていたのと同じくらいの強さで、自分は何をいくら食べても太らないと思い込んでいた。しかしここ1・2年くらいで、高校時代か…

犬も歩けば犬に当たるか?

犬派猫派論争というものがある。人々の選好を明確に二分することが可能であると信じる楽観的な思考の持ち主が、飲み会の席で一通り話題が出尽くした後、お代わりのウーロンハイを頼みつつ持ち出す、アレである。 個人的には、そもそもなぜ犬好きと猫好きが同…

「つまらない飲み会」をどう解釈するか

夏休みに入って大半の友人が帰国してしまい、またサマースクールに来ているキッズでカレッジが溢れかえっているためにカレッジからも足が遠のいているのだが、逆にその孤独を埋めるために最近はほとんど毎日夜はオックスフォードに残っている友人と食事をし…

ティッシュペーパーが異常に高くて硬いこの国で

前回はかなり真面目なことを書いて、今までで一番反響があり、驚くと共に嬉しかった。そこで今回も何か有意義なことを書いてブログの読者を繋ぎ止め、あるいは増やしていこうという欲に駆られそうになるが、そうは問屋が卸さない。今回は誰が見てもどうでも…

銃・病原菌・桐灰

望むと望まざるとに関わらず、関西出身者が東京に出るということには様々な結果が伴う。「方言残ってるね」と言う関東人に、関西弁は方言ではないという当然の事実を理解させなければならないし、全ての関西人がお笑い芸人ではないという彼らにとって驚きの…

哀愁の街にカキフライが降るのだ

東京から関西の実家に帰ってきて数日が経った。御堂筋線には新しい車両が走り、大阪駅にはめったやたらとキレイなエリアができ、近鉄電車のえんじ色のシートはいつの間にかグレー勢力に駆逐されつつあった。もう7年近くも関西には住んでいないことになるが、…

コーヒーは人生に必要か?

オックスフォードも寒くなってきた。東京や大阪とそこまで変わるとは思わないが、気温が数度低く、緯度が高い分冬は日が短い。でも今のところ、色んな人に脅されるほどひどい冬だとは思わない。これがトロントを経験した人間の強みである、まいったか*1。 こ…