あけましておめでとうございます。
今年はトロントにいた2014年以来、久しぶりに国外で迎える新年である。どうせ日本にいても帰省はしないほうがいいのと、博論が佳境を迎えており、時差を調整する時間のロスが惜しいので、こちらに留まることにした。私は本来、年末年始は日本にいないとどうも気持ちが切り替わらないので、できる限り帰国しているのだが、今年は年越しそばを作ったり、おせちを注文したりして、意外にも年末年始気分を随分味わうことができた。
2020年の振り返りは前回の記事にもちらっと書いたが、とにかくイレギュラーな1年だった。イギリスにいたのは1年の半分程度に過ぎず、本来行くはずだった学会やフィールドワークも全部キャンセルになった。博士課程最終年の去年は、学会行脚で3月にハワイ、5月にシンガポール、9月にマルタ、12月にオーストラリアに行く、盛り沢山な1年のはずだったのに・・・。今さら言っても仕方ないが、つくづく惜しい1年である。まあその反面、博論提出がもうすぐできそうなのは、怪我の功名と言うこともできるが、やはり普通の1年の方が良かったに決まっている。
悪いことが起きたときにしばしば私が自分に言い聞かせるのは、それが起こらなければもっと悪いことが起きていたかもしれない、だからこれでよかったのだ、ということである。もし学会がキャンセルになっていなければ、私が乗った飛行機が落ちていたかもしれないし、旅先で病気になっていたかもしれない。まあきっとそんなことはなかっただろうが、どのみち反事実は観測不能なので、何を想定するのも自由である。
いずれにせよ、幸いにして2020年は終わった。2021年に目を向けなければならない。もう10日以上が過ぎて少し乗り遅れた感もあるが、今回は新年の抱負でも書いておきたいと思う。
- 博士号を取る
まずは、当然のこととして、博士号を取得しなくてはならない。提出は一週間以内にできる予定で、審査員のスケジュールによるが、その1ヶ月半後くらいに口頭試問(viva)がある予定。全体の原稿はもうできていて、今はタイポを見つける作業などをしている。タイポを探すのは楽しくないが、レイアウトを整えたり、文献リストを加えたりするのは、端的に言って楽しい。長大な論文ができあがって、その最後の仕上げをしていることへの満足感、充実感といったものがこみ上げてくる。早く口頭試問を終えて、PhDになりたいものだ。
- 論文を最低2本出版する
続いても研究関連だが、今年は論文を最低2本は出したいと思っている。2019年にアクセプト(2020年に正式に出版)された論文が出てから、1年間は博論にかかりきりで論文が出せなかったので、今年は博論を基にした論文と、もう一つくらいはpublishしたいと思う。博論は自分にとって大事なので、こだわって良いジャーナルに出したいと思うので、これは意外に時間がかかるかもしれない。ポスドクはともかく、これから教員のポジションに応募していこうと思うと、出版業績は死活的に重要になってくる。今年の年末には、「publication recordを大幅に向上させた1年だった」と振り返ることができるようにしたい。
- イギリスのアカデミアに食い込む
関係するポイントとして、イギリスのアカデミアにもう少し食い込んでいきたいと思う。博士課程の3.5年間は、まずこの国に慣れて、知り合いを作っていくことから始まり、博論という巨大な目標が常に存在していたので、なかなかネットワーキングなどには目を向ける時間がなかった。そもそも、博士課程の院生というのは、まだ半人前だとみなされて、あまり一般の教員(学内は別として)からまともに取り合ってもらえない面がある。日本でもそうだが、イギリスでも同様の雰囲気がある。PhD後もとりあえずはイギリスに留まることになりそうなので、博士号という運転免許を得て、研究会や出版、学会などを通じて、名前を売っていければと思う。
- 短歌に継続的に取り組む
2020年の前半は短歌に相当入れ込んでいたのだが、博論にかかりきりになっていた代償として、後半は少しおろそかになってしまった。やはり国内にいるときの方が、歌を作る機運は高まるのだが、海外にいることで作れる歌もあると思うので、こちらの方も取り組んでいきたいと思う。というか、短歌を作るくらいの心の余裕があるということが、本来あるべき生活のリズムなのだと思う。忙しすぎるのはよくない。
- 日常的にスポーツをする
同じような話で、もっと運動しないとな、とずっと思っている。コロナ以前はスカッシュなどを時々していたが、接触の多いスポーツであるスカッシュはコロナになってからできなくなり、歩くのとキャッチボールが唯一の運動のようになってしまっていた。筋トレもやっていたのだが、私はあまり筋トレに血道を上げるタイプの人間にはなれそうもなく、また家でのトレーニングは味気ない。感染状況がマシになる、という前提のもとだが、スカッシュクラブに入るとか、ジムと契約するとかは必ずしようと思う。
- イギリスを楽しむ
最後に、これは去年なども言っていたと思うのだが、イギリスにいる残りの時間を可能な限り楽しむ、ということが案外一番大事なことかもしれない。美術館巡りをしたり、イギリスのファッション事情に詳しくなったり、イギリスの政治や歴史について読んだり、色んな街に行ってみたりしたいと思う。せっかくここにいるのだから、「今ここ」を楽しめる人間にならないと、と半ば焦るように感じている。
ここまで書いていて痛感させられたが、研究面はともかく、生活面の目標のほとんどが、コロナの感染状況次第なのである。 本当に今年は、去年よりもずっと良い年に、なってほしいものだ。それでは、本年もよろしくお願いします。