紅茶の味噌煮込み

東京駆け出し教員日記

受賞、競争、その他雑感

芸のないタイトルを付けてしまった。それくらい博論にかかりきりで、ブログにかける時間がないということだ。ブログを書くハードルが高いのは、記事が毎回長過ぎるからなので、今回はさらっと書いてしまおうと思う(予定)。

特に今回の記事に目的はなく、最近どうしているということを簡単に書きたかったのと、そろそろ記事を書かないと忘れられてしまいそうだったためである。最近は、嬉しいニュースがいくつかあり、その一つは、アメリカを拠点とする国際関係論の学会である、International Studies AssociationのHistorical IR分科会の院生論文賞の佳作を受賞したことだ。所属学部がTwitterやウェブサイトで宣伝してくれるのだが、縦横比のせいか自分の顔がドアップでTwitterに掲載されて恥ずかしかった。政治学・国際関係論関連の学会はたくさんあるが、国際関係論においてはISAが最も規模が大きく、そして今回の賞をくれたHISTセクションは、私が一番所属意識のある分科会で、将来も関わっていきたいと思っていたので、これは私にとって大きなニュースだった。

もっとも、オックスフォードは(特に学部の指導があるとかではなくなぜか)3年連続でこの賞を受賞していて、しかも過去の2人は佳作ではなく本賞を受賞している。去年からオックスフォードでSeminars in History of International Politics(略してSHIP、というかSHIPと略すためにこの名前をつけるというメンバーの提案)という研究会を開催しているのだが、受賞者がみんなこのグループに所属しているのが個人的に誇らしいところ。1年目などは、学部内に研究関心の近い人が少ないなーなどと思っていたのだが、ネットワークが広がっていくにつれて、徐々に仲間が増えていった(のと、自分の関心が周りに影響されて寄っていったのかもしれない)のは、本当に嬉しい限りで、将来もこうした繋がりが続いていけばいいな、と思う。それが海外で学位を取ることの大きな意義の1つだと思う。

そして、もう一つ興味深いニュースは、以前の記事で、論文を出版した過程で競争にさらされた、という話をしたが、その競争相手の論文がついに出版された。

最初相手から「似た研究をしている」というメールを受け取ったときはパニックになったが、そこから何とか出版にこぎつけることができ、少しは学界の様相もわかるようになってきた。自分の論文が出てから1年も後に相手の論文が出たことを考えると、別に焦らなくてもよかったじゃないか、と思わないでもない。ただ、その論文を読んでみると、発表を聞いたときとはかなりフォーカスが変わっていて、射程が狭くなった感じというか、正直前のバージョンの方がよかったのでは、と思ったのと、私の論文が(かなりdownplayするような書き方で不満だが)曲がりなりにも引用されているということを指導教員に話したら、それは君の論文が先に出たからフレーミングを変えざるを得なかったんだよ、頑張ってよかったねと言ってもらえ、ポジティブに考えることができた。まあでもしばらくは自分のペースで研究を進めたいものだ。

「受賞、競争、その他雑感」というタイトルで書こうとしたが、「その他雑感」の部分を書き始めるとまた長大になってしまいそうなので、それはまた別記事にしたいと思う。退屈なオンラインセミナーの間に記事を書いていたら、セミナーが終わってしまったので強制的に終わりにした、というわけでは断じてない。