こちらには2月末まで1ヶ月半ほど滞在し、アーカイブで資料調査をしたり、政策担当者へのインタビューができればな、と思っているが、どれだけ実現するかはわからない。そもそも、私のテーマ(天然資源と国家形成の関係)だと、植民地期を扱うので、資料はほとんどイギリスにあり、湾岸の人々はほとんど文字資料を残していない。Qatar National Libraryという、それはそれは美しい建物があるのだが、そこで所蔵の一次資料について聞いてみると、まだ図書館ができたばかりで、どのような資料があるのかアーキビストも把握していないとのことだった。
ある日、そのグループの主催者らしき院生が、FBのグループにポストしたのは、"This house believes eugenics is the way forward." という内容。This house believes ~ というのは、議会での討論を模した論題の書き出しで、eugenics is the way forwardというのは、「優生学が我々の進むべき道だ」というような意味であろう。
その後しばらくして2人は話を終えたようで、また私はそのエストニア人の友達と話し始めたのだが、彼女によると、そのイタリア人の学生が私についてどうも差別的なことを彼女に言ったらしい。何かというと、彼が彼女に、「彼(私)は中国人?」と訊ね、彼女が「違う、日本人」と答えると、それに対して、"It doesn't matter. They all look the same."(「日本人でも中国人でもどっちでもいい。みんな同じ顔してる。」)と言ったらしいのだ。
さて、2018年は私にとっては可もなく不可もなくといった年であった。去年のおみくじは確か凶で、不安な幕開けであったわけだが、学業も概ね順調であったし、私生活でもまあ特別悪い年ではなかったといえよう。論文も1本出版できたし、初めて海外学会での発表を経験し、Transfer of Statusも無事通過して、学部内でも少しずつ認知してもらえるようになってきたと思う。オックスフォード生活も相変わらず楽しいし、一生ものだと思えるような友人もできた。
上と関連するのだが、研究以外に何か「自分はこれをやっている」と自信を持って言えるものを確立したいとずっと思っている。趣味という次元で良ければ、今の私にもスカッシュ、テニス、ビリヤード、小説、音楽、映画、短歌 etc. と色々あるのだが、どれもそれほど深くは掘り下げていない。浅く広くという感じである。しかし、研究だけが人生ではないし、もう1つ軸が何かあった方が、本業の研究の方も上手く回るような気がしているのだ。それに、私の師匠もそうだが、 一流の研究者と言われる人の中には、何か自分の専門以外にすごく詳しい分野があって、そこでも名を成しているという人が多いように思う。今年中にその「何か」の足がかりくらいはつけたいなと思う。